GC Vol.15 レポート

GoldenCircle vol.15 のレポートを、写真コメント:寺岡呼人、本文:柳村睦子さんでお送りします!



ゆずはゴールデンサークルそのもの。彼らに出会ってこのイベントを始めようと思いました。


中村 中はこの数年で出会った一番の才人です。50年に一度の逸材だと思います。


桜井とも気づけば20年のつきあい!彼の人間性、そして才能に今回も脱帽。親友です。


寺岡呼人も頑張りました(笑)。『ハローグッバイ』は感動的でした。


寺田人気再燃か(笑)?かなりの反響にビックリ!でもそれも奥田民生の魅力ならでは。


このメンバーは、集まるべくして集まった!そんな壮観なセッションでした。


チャボさんは、最高のロックロール人。それを強烈に再認識させられました。


夢は武道館から始まる。

15歳の少年がいた。初めての日本武道館で、彼はステージに立つ憧れの人を見ていた。それから少年はバンドでデビューして、同世代の友を得て、もっと若い世代をプロデュースするようになる。少年の名は寺岡呼人。彼は憧れの世代と、同世代の友と、若い世代が集うイベントを始める。Golden Circleと名付けられたそのイベントは、2010年10月24日、日本武道館で10周年を迎えた。

1万3500人の歓声が上がる。モニターに映し出された10年分の映像と出演者メッセージ。楽器だけが置かれたステージ。そこに立つ寺岡呼人、Mr.Childrenの桜井和寿、奥田民生、ゆず、中村中が声を揃えて「ミュージック」を歌う。シンプルな演出と音楽だけで感動させる。それがGolden Circleなのだ。

「今日は祭りです!」
寺岡が叫ぶ。そのトップを任された中村中は、たったひとりで山崎ハコのカヴァー曲「織江の唄」を歌い上げる。恐るべき表現力と度胸。それは「いつまでも、ゆずを若いと思わないでください」という爆笑発言に続く、寺岡リクエストの「戦争を知らない僕らの戦争」で爆発した。僕らの戦場は教室だ。標的を見つけては嘲り、罠を仕掛け、心と体を傷つけ続ける無間地獄。中村が両耳を塞ぎながら叫ぶ。武道館を凍りつかせて去る彼女の後ろ姿に、嵐のような拍手が降り注いだ。

イントロで悲鳴が起こった。Golden Circleが生まれたきっかけはゆずと出会ったから。寺岡にそう言われた二人は青春を歌った「嗚呼、青春の日々」と「君は東京」を選んだ。「もう若手じゃないね」「中堅ですよ」と苦笑いするゆずも34歳。彼らにとってGCも青春の大事な思い出なのだ。そしてGC Vol.00で歌われた「星がきれい」。昔話なのに昔話じゃない。それでも少しずつ変わる心と景色。切ない恋の思い出を綴る名曲で、北川悠仁と岩沢厚治はその声を雪のように空から降らせた。

時が動く。未来が近づく。JUN SKY WALKER(S)のカヴァー曲「休みの日」では別れの未来、Mr.Childrenの「and I love you」では昨日を越えた未来。最高の歓声で迎えられた桜井和寿は“時”を意識した曲を選んだ。「僕の大切な親友」「一番最初にMr.Childrenを評価してくれたのが呼人君」と言うほど特別な二人。初共作曲「星になれたら」で、桜井は寺岡を誘って、ステージ後方に設置された通路を駆け上がる。その瞬間、二人は20年の時を越えた。出会えた喜び。それは飛び跳ねる武道館全体にも広がったのだ。

テーマ曲「花嫁」を背に、奥田民生と寺岡がステージ両端と中央でデ・ニーロのポーズ。GC名物“寺田”の出番だ。「トイレ行っていいよ」「手拍子とかしたら後悔するよ」発言でいきなり笑いを取り、「22才の別れ」の替え歌♪私は〜寺田〜で〜す〜♪や、まねきねこダック縛りの替え歌で大いにウケる。「今日のお客さんは温かい!」とご満悦。井上陽水に許可を取ったというオリジナル(?)曲「脳がない」は、バカバカしくも、心地よい名曲に!やはりタダ者ではない寺田、堂々の武道館デビューであった。

そのまま奥田はギターを持ち、寺岡のR&R「眼」をセッションする。父から息子への手紙のような「花火」同様、寺岡自身の新作『独立猿人』からの曲は“大人”の視点と哀愁が底を流れる。再登場の桜井は「マチルダ」を「いい曲。初老感漂う曲」と絶賛した。時の重みを知った大人は、これから人生が始まる子供に優しい目を向ける。そんな「ハローグッバイ」で武道館は♪シャラララ〜の大合唱となった。「すげえ!」と目を見張る彼に、会場のあちこちから「呼人!」と声が飛んだ。

15歳。初めての武道館。南スタンド2階席。寺岡呼人はRCサクセションのステージを見ていた。いつの日か“飲んだくれジョニー”こと仲井戸CHABO麗市と共演するんだ。

万感の思いを込めて寺岡が「“飲んだくれジョニー”を探して」を歌う。ジョニーは舞台へ現れた。そのフレーズを歌った直後、武道館に響き渡るギター。最高の演出で仲井戸CHABO麗市がゆっくりと現れた。

「1964年、高校一年の時、俺、ビートルズを見ました」
CHABOが武道館の思い出を語る。席は北西スタンド。憧れが夢を生み、その夢が現実となった時、また誰かの夢が生まれる。ビートルズのフレーズを交えて「ティーンエイジャー」を歌うCHABOはGolden Circleの精神を心から尊重している。桜井が歌った「月夜のハイウェイドライブ」は、全部思い出になるという歌詞が涙を誘う。全員勢ぞろいの「GIBSON」はRCバージョンで。これも寺岡の粋な演出だ。

人が集まる。歌が生まれ、それが誰かの心に灯を灯す。本編ラストの「ウタガデキタヨ」を寺岡は「GCを象徴する曲」と評した。アンコールはGCに最初に灯りを灯したゆずの「夏色」から。CHABOが「グレイト忌野清志郎!!」と叫んだ「雨あがりの夜空に」。肉体は失われても音楽は永遠に続く。寺岡の想いを込めた「フォーエバーヤング」が最後を飾る。

出演者全員、全編を支えた林久悦(Dr)、林由恭(b)、佐藤“じーけん”健治(G)、磯貝サイモン(key)、新川博(key)が笑顔で去り、寺岡呼人がステージに残った。
彼は言う。これからは「俺はこれが好きだ」「これだけは信じられる」という、それぞれの価値観が大事になると。
「このGolden Circleにはすげえ価値観があるんじゃないかなって、やっとこの10年でわかってきました」

音楽だけは信じていける。ひとりひとりのその小さな灯りは、やがて光り輝く輪、GoldenCircleとなるだろう。武道館で生まれた夢はそうして永遠に続いていく。

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